春日電機事件



東証2部に上場していた産業機器メーカー「春日電機」の篠原
猛元社長が、返済される見込みがないのに元社長の関係会社に
5億5千万円を貸し付けて春日電機に損害を与えた疑いが強ま
り、警視庁捜査2課に12日、篠原元社長を会社法の特別背任
容疑で逮捕された事件があった。

元社長は2008年6〜7月、実質的に経営する機械販売会社
「アインテスラ」に対し、春日電機から無担保で計5億5千万
円を貸し付けさせ、同社に同額の損害を与えた疑いが持たれて
いる。アイン社は元社長が04年4月に設立した会社で、貸付
金のうち1億7千万円を春日電機に返したが、残金は回収でき
ていないという。同課は、元社長がアイン社に返済能力がない
ことを知りながら、春日電機に多額の資金を貸し付けさせたと
みて取調べをしている。

春日電機は、1945年創業の開閉器・制御機器等を製造する
地味で堅実な電機メーカーであった。東証2部上場に上場し
ていたが、2008年6月の株主総会で、創業者一族で社長だ
った春日尚雄氏は解任され、株式約18%を所有していた「ア
インテスラ」の会長だった篠原容疑者が、総会後の取締役会で
新たに代表取締役に選任された。実はアインテスラは、2007
月から同社株の買い占めを開始し2008年1月末までには、
「グローバックス・ホールディングス」と組み、同社株式37.
61%を保有していた。取締役に関係者を送り込み、春日社長
解任の修正動議を出し、乗っ取ったのだった。グローバックス
の鹿内隆一郎社長は、フジサンケイグループの3代目総帥だっ
た鹿内宏明氏の長男である。篠原容疑者と組んで上場企業を
乗っ取ったのであった。

その後、2009年1月監査法人が、総会以後の取引に不透明
な点があるという点で、結論を表明しない記載を報告書にした
ため2月に上場廃止。6月には信用力低下による資金繰りの
悪化で、会社更生法を申立て、10月に因幡電機がスポンサー
として買い取った。地味で真面目なメーカーが、悪徳投資家と、
名門の御曹司に、おもちゃにされた典型例である。春日電機に
ついては、地場証券が絡んだインサイダー容疑もあり、追って
掲載したい。