東海東証証券(8616)



東海東京証券(名古屋市)の社員が顧客の資産を詐取した事件
で、大阪府警捜査2課は8日、別の顧客からだまし取ったキャ
ッシュカードで現金約490万円を引き出したとして、詐欺と
窃盗の疑いで同社大阪支店の元営業員、中辻智彦被告(50)、
を再逮捕した。

府警によると、中辻容疑者は容疑を認め、「引き出した金は、
特定の顧客の損失補填(ほてん)や自分のクレジットカード決
済に使った」と供述しているという。再逮捕容疑は平成22年
4〜5月、「システム変更に伴いカードを回収する」などと偽
り、大阪市内に住む70代の女性から同社の証券口座のカー
ドを詐取、口座から計約490万円を引き出したとしている。

中辻容疑者は、1月11日、の顧客資産を不正に出金していた
ことにより、大阪府警捜査2課に、資産をだまし取ったとして、
詐欺容疑でを逮捕されていた。同課によると、容疑を認めてい
るという。東海東京証券の社内調査によると、中辻容疑者は管
理していた顧客16人の株などを売却し、連日、現金自動預払
機(ATM)から1日の出金限度額を引き出すなどしていた。
不正は10年以上前から繰り返されていたという。

同社の親会社の東海東京フィナンシャル・ホールディングス
などによると、不正な出金は約6億3000万円に上る。うち
約1億円が大口顧客への損失補填(ほてん)に充てられていた
とのことである。

東海東京フィナンシャル・ホールディングスは、取締役6名の
内、3人が東海銀行出身、2人は社外役員である。銀行系企業
にありがちな体面を取り繕う社風で、取引先を選びかちである
とも言われる。この事件で、役員は誰も責任を取っていない様
である。実体的コンプライアンスの整備が求められると指摘し
たい。