原弘産 8894
原将昭元社長急死


原弘産の元オーナー社長であった原将昭氏(59)が、10日心筋
梗塞で亡くなった。原氏は、学卒後積水ハウスを経て1986年に
不動産会社の原弘産を設立。2001年に株式上場まで果たし、
新規事業として手がけた風力発電機のメーカーとして全国でも知
られる存在となり、ある意味、時代の寵児となった。一時期は、事
業目標も不動産事業750億円、風力発電事業750円の1500
億円の売上高を目指すほどだった。

ところが、リーマンショックの発生で、各地で開発していた分譲マン
ション等が大量の在庫となり、不動産事業が窮地に陥り、風力発
電事業も急速に市場が縮小していった。そのため、オランダまで
進出していた風力発電事業を売却、不動産事業に経営を集中さ
せ、分譲マンション在庫など数多くの手持不動産を見切り処分し
再生を図った。

しかし、処分すればするほど赤字は巨大化、評価損も含
めて09年2月期▲91億円、10年2月期▲101億円の赤字を
露呈させ、10年期には▲55億円の債務超過に陥った。
それでも原氏は、ADRの申請も含めて何ら法的な措置も取らず、
それまでに発行していた社債のディスカウント償還を繰り返すなど
して特別利益を捻出、再建にまい進した。

原氏は、2010年4月に、自ら関与した金融商品取引法違反
(インサイダー取引)や業績悪化の責任を取り、社長を辞任、以後
息子の孝氏にバトンタッチしていた。昨年8月には、株主から、
過去のアパマンショップ関連への17億59百万円(引当済)
の融資につき、役員会の承認を得ておらず原元社長が勝手に融資
したとして、会社は原元社長を訴えるよう請求された。息子が社長
を務め、また自らが作った会社から、訴えられる事態に陥っていた。
先月、同社が持つ負債と相殺の形を取り決着させた。当然、水面下
で動いていたのは原将昭氏であった。59歳の若さでの急逝であっ
た。冥福を祈りたい。