委任状争奪戦ひとまず回避



専門店ビル大手のパルコは19日、筆頭株主の森トラストと
第2位のイオンによる経営陣の刷新要求を受け入れ、平野秀
一社長(52)が退任する人事案を固めた。後任には両株主が
就任を求めていた牧山浩三取締役兼専務執行役(52)が昇格
する。森トラストはこれを受け入れ、パルコに対する株主
提案を取り下げる。

森トラストとイオンの持ち株比率は合計で45%強。両株主と
パルコは役員人事で対立し、株主総会での委任状争奪戦に
発展する可能性もあったが、争奪戦はひとまず回避すること
となった。イオンが要求する国内外の共同事業などの業務
提携については新経営陣のもとで協議する。

パルコの取締役は10人。森トラストが3月末に出した株主
提案は同社から2人、イオンから3人を派遣するほか、パルコ
本体は牧山氏1人、その他の社外取締役が4人という構成で、
イオンも同調していた。これに対しパルコ側は森トラスト2人、
イオン1人、パルコ2人、その他の社外取締役5人という人事案
を提示していた。両株主も合意した。

パルコの経営を巡っては33.2%を出資する森トラストが昨年
初めに出資比率を50%弱に引き上げると提案。これに対抗して
パルコは昨夏に日本政策投資銀行と提携、同行を引受先とする
新株予約権付社債(転換社債=CB)を発行した。森トラストは
反発し、経営陣の刷新を求めていた。イオンは2月下旬にパルコ株
12.3%を取得。中国でのショッピングセンターの共同展開などの
業務提携案を示したうえ、森トラストと共同歩調を取ると表明。
パルコが導入している買収防衛策の撤廃や出資比率の引き上げも
要求していた。イオンはパルコに対し、業務提携を引き続き求める
方針。