東日本大震災後の株価暴落で、個人投資家の出した巨額の損失
がインターネット証券を苦しめている。先物取引など金融派生
商品の損失が大きくなり過ぎ、投資家から回収できないまま
ネット証券が「不足金」として抱え込まざるを得なくなって
いる。

株価指数先物やオプション取引は、投資家が事前に証券会社に
元手(証拠金)を預け、元手の一定倍率の大きさの額まで売買
することができる。相場の動きが予想通りだった場合、元手の
範囲内での取引よりもたくさんの利益を得られるが、逆に損失
が拡大し、元手を超えてしまうと、追加の証拠金を納めない
限り、投資家は取引の清算と損失の穴埋めを迫られる。

震災後の3月14、15日、日経平均株価は計1649円も急
落した。追加の証拠金支払いも損失の穴埋めもできない顧客が
続出した。カブドットコム証券は取り立て不能になる恐れのある
決済損失が39億円にのぼると発表。松井証券は35億円、岡三
証券子会社の岡三オンライン証券は18億円、マネックスグルー
プも13億円発生したと発表。ネット証券の不足金発生の背景に
は「全国の支店網がなく、顧客から資金を回収する営業マンが不足
している」こともあるとみられている。4社は11年3月期決算
で、回収できなかった不足金を貸し倒れ引当金として計上する見通
し。いずれも「財政状態を損なう規模ではない」としているが、
ひまわり証券は今回の株価急落を受け、先物取引などからの撤退を
決め、大幅人員削減を発表していた。