東京電力株主総会6時間9分



「勝俣会長は、3月11日の後、すぐに辞めるべきだった」
総会冒頭の東電側の事業報告直後、男性株主が議長の勝俣会長
の引責辞任を求め、これが、紛糾した東電史上歴史的なロング
ラン総会のキッカケとなった。OBも含めた役員報酬の全額返
上や財産売却等々経営責任を追及する声が最後まで連続して続
いた。東電が引責辞任を決めたのは取締役20人のうち清水正
孝社長や武藤栄副社長ら4人で、残る16人は留任、執行役員
1人が昇格した人事は総会で何とか可決した。「けじめ」を強
調した経営陣の言葉は、空しく響くだけだった。福島第1原発
事故以来、迷走を続けてきた経営陣に対する株主の信頼が大き
く損なわれた実情を浮き彫りにし、未だ事故収束が見通しが立
たない中で巨額の賠償責任を負い、経営の立て直しに向けた道
はまったく開けていない。事故前に2千円を超えいた東電株は、
一時は148円まで落ち込み、多額の処理費用と補償により、
資産価値は激減した。配当も見送られ、株主の怒りは収まらな
い。


株主の怒りの矛先は、賠償責任についての東電のあいまいな態
度にも及んだ。「賠償責任がないような言い方をしておいて、
賠償金を払うという。これは施しなのか!」と、株主の一人が
激しく追及し、事故原因が原子力損害賠償責任法に規定された
「異常な天変地異」に当たるとする東電側の説明だったが、政
府の立場と明確に異なるもので、東電は免責されることになる。 
勝俣会長は「東電が免責を主張すれば、多くの被害者と長期の
裁判になる。その間、国の支援がなければ被害者救済や事業継
続ができなくなる」と理解を求めたものの、賠償をめぐる東電
の厳しい現実を浮き彫りにするばかりだった。

東電側は今度の経営課題として、事故のあった原子炉の安定、
避難している人たちの帰宅実現、損害賠償、電力の安定供給態
勢の確保、経営の立て直し−を列挙したが、肝心の原子炉の安
定すら全く先がみえない。東電は、福島第1原発1〜4号機に
は廃炉費用も含め8100億円かかると見込んでいるが、それ
で収まるとは思えず、賠償も含めると数兆円に達するという観
測もあり、東電の「漂流」は、これからも続いていく。