エルピーダ株、支援策公表前
経産省幹部、インサイダー取引


半導体大手エルピーダメモリの資本増強策が公表される前に、
同社株を取引していた疑いがあるとして、資源エネルギー庁
の前次長(52)が金融商品取引法違反(インサイダー取引)
容疑で証券取引等監視委員会の強制調査を受けたことが6日、
判明した。前次長は経済産業省の現職キャリア官僚で、当時、
同省審議官として政策決定に関与していた。公的資金を活用
した企業救済策を担当した官僚の不正取引疑惑は、産業政策
に対する国民の不信を招く懼れが大である。監視委は検察当
局への告発の可否を慎重に検討しているという。

エルピーダは2008年のリーマン・ショック後に経営不振
に陥り09年6月22日、改正産業活力再生特別措置法
(産活法)の適用を申請した。経産省は同月30日、同法適
用を認定し、日本政策投資銀行が第三者割当増資で優先株
300億円を引き受けることを発表。政投銀と民間銀行が
1100億円を協調融資するなど再建計画が決まった。

関係者によると、前次長は当時、経産省商務情報政策局担当
の審議官を務めており、情報通信産業分野の政策決定に関与
していた。エルピーダ経営陣から得た情報を基に、同社の再
建計画の公表前に、他人名義で同社株を買い付けた疑いがあ
る。08年夏まで1株2000〜4000円台だった同社の
株価は、リーマン・ショック後の同年11月に305円の最安
値を付けたが、政投銀が出資した09年8月末に1500円前後
まで回復した。前次長が取得した利益は、数百万円に上ると
いう。